ここまでの記事では、メルカリを使ったリサーチ方法や、実際に店舗で利益を出せるようになるまでには時間がかかることをお話ししてきました。
実際に店舗へ仕入れに行った方の中には、
「検索した商品と全く同じものが見つからない」
「似た商品はあるけれど、いくらで売れるのかわからない」
「色やサイズ、素材が違う場合、何を基準に相場を考えればいいのだろう」
と、リサーチでつまずいた方も多いのではないでしょうか。
正直、店舗に並んでいる商品は一つひとつ条件が違います。特に中古のアパレルでは、ブランドが同じでも、色・サイズ・素材・年代・状態などが異なり、メルカリで全く同じ商品が見つからないことも珍しくありません。
利益を出せるようになるための大前提は、時間をかけてリサーチと実売の経験を積むことです。ただ、毎回「同じ商品がないから相場がわからない」で終わってしまうと、なかなか仕入れには進めません。
そこで今回は、僕が実際に仕入れて販売した3つの商品を使い、商品の特徴に応じてどのように検索条件を変え、相場を考えたのかをお話しします。
- 実売が多く、相場を比較しやすいGUCCIのビットローファー
- 完全一致が少なく、素材・丈・機能に分解して考えた伊太利屋のファーコート
- タグ・年代・柄・ボタン・サイズから付加価値を考えたHERMÈSのカーディガン
リサーチ方法には、すべての商品に使える一つの正解があるわけではありません。商品によって見る場所も、検索条件の広げ方も変わります。
この記事を読むことで、実売が多い場合と少ない場合の相場の考え方や、「なぜそのキーワードで検索するのか」という検索意図を知っていただけると思います。
ここで紹介する商品をそのまま覚えるのではなく、リサーチの考え方を理解し、店舗で出会うさまざまな商品へ応用してもらえればうれしいです。
相場は一つの価格ではなく「価格帯」で考える
具体例に入る前に、僕が相場を調べるときに大切だと思っている前提を一つお伝えします。
それは、相場は一つの価格ではなく、ある程度の幅を持った価格帯として考えることです。
同じ商品が15,000円、18,000円、21,000円で売れていたとしても、自分の商品が必ず18,000円で売れるわけではありません。
状態がよく、人気のサイズで、写真もきれいであれば上振れするかもしれません。反対に、傷や汚れがあったり、需要の少ないサイズだったり、季節を外していたりすれば、下振れする可能性があります。
そのため僕は、複数の実売を見るときに、次の3つを考えます。
- 高く売れた場合の上振れ価格
- 最も現実的な中心価格
- 値下げしても売り切りやすい下振れ価格
特に仕入れでは、中心価格だけでなく、下振れしても利益が残るかを確認することが大切です。
また、平均価格は便利ですが、平均だけで判断するのも危険です。一つだけ非常に高い商品が混ざると、平均価格も高くなります。
価格だけでなく、色・サイズ・素材・状態・販売時期などを確認し、自分の商品に近い実売を重く見る必要があります。
事例1:実売が多いGUCCIのビットローファー
最初は、比較的実売が多く、王道のリサーチをしやすいGUCCIのビットローファーです。
僕が仕入れたのは、茶色のホースビットローファーでした。サイズ表記は36½で、日本サイズでは23.5cm前後として出品しました。

まずはブランドとカテゴリーで大枠を見る
最初に「GUCCI」「ローファー・革靴」「目立った傷や汚れなし」「売り切れ」といった条件で検索すると、数多くの実売が出てきます。
ただし、一覧には3,000円程度の商品から、3万円を超える商品まで並んでいました。
同じGUCCIのローファーでも、黒や茶色、白、レオパード柄、刺繍、ファー付きなど、デザインはさまざまです。形も定番のビットローファーだけではなく、パンプスに近いものや装飾の強いものが混ざります。
この段階で一覧の平均価格を出しても、自分の茶色いビットローファーの相場にはなりません。
ここで大切なのは、検索結果が多いからといって、すべてを比較対象にしないことです。
色とサイズを追加して、自分の商品に近づける
そこで「ビットローファー 茶色 23.5」とキーワードを加え、自分の商品に近いものへ絞りました。

近い実売として確認できたのは、次の3商品です。
| 類似商品 | 販売価格 | サイズ・時期など |
|---|---|---|
| 茶色のビットローファー | 10,700円 | 23.5cm相当・半年前 |
| 茶色のビットローファー | 23,800円 | 37½・1か月前 |
| ダークブラウンのビットローファー | 5,500円 | EU35・半年前 |
3商品の平均は約13,333円です。ただ、5,500円から23,800円まで幅があり、平均だけでは判断しにくい結果になりました。
23,800円の商品は比較的新しく売れており、サイズや状態、見せ方なども上振れの要因になっている可能性があります。一方、5,500円の商品は小さめのサイズで、価格もかなり下振れしています。
このように実売が多い商品でも、価格だけを見るのではなく、なぜ高いのか、なぜ安いのかを考える必要があります。
僕の商品は茶色の定番型で、サイズも極端に小さいものではありませんでした。状態も大きく崩れていなかったため、1万円台半ばを現実的な着地として考えました。
実際の販売結果
- 仕入れ価格:5,350円
- 販売価格:16,399円
- 販売手数料:1,639円
- 送料:750円
- 利益:8,660円
- 販売期間:14日
実際には16,399円で、出品から14日で売れました。
類似3商品の単純平均より高い金額ですが、最近の高値実売よりは低く、1万円台半ばという予想から大きく外れていません。
GUCCIのビットローファーから伝えたいのは、実売が多い商品では、まず複数の近い商品を集めることです。そのうえで、色・サイズ・状態・時期などを比較し、自分の商品が価格帯のどこに入るのか考えます。
事例2:完全一致が少ない伊太利屋のファーコート
次は、全く同じ商品の実売がほとんどなかった伊太利屋のファーコートです。
僕が仕入れた商品は、ブルーフォックスファーが使われたロング丈のリバーシブルコートでした。
完全一致では一つしか見つからなかった
最初は「伊太利屋」「レディース」「毛皮」「ブルーフォックス」と、自分の商品に近い条件で検索しました。
しかし、近い実売は一つしか出てきませんでした。

一件だけでは、それが一般的な相場なのか、状態やタイミングによってたまたま高く売れた商品なのか判断できません。
そこで、検索条件を少しずつ広げました。
最初はブランドを残しながら「伊太利屋 フォックスファー」「伊太利屋 リバーシブル」などで検索し、その後はブランド名を外して「フォックスファー」「リバーシブル」「ロングコート」と、商品の特徴を軸に類似品を探しました。
商品を要素に分解して考える
今回の商品を分解すると、次の要素があります。
- 伊太利屋というブランド
- ブルーフォックスという素材
- リバーシブルという機能
- ロング丈
- レディースのファーコート
- 目立つ大きなダメージがない状態
これらすべてが一致する商品はなくても、一部が一致する商品を複数見ることで、おおよその価格帯は考えられます。
参考にした実売は次のようなものでした。
| 比較商品 | 販売価格 | 近い要素・違う要素 |
|---|---|---|
| 伊太利屋系ロングレザー・ファーコート | 19,100円 | ロング丈とファーが近い |
| 伊太利屋・フォックスファートリミングコート | 39,840円 | ロング丈だがリバーシブルではない |
| 伊太利屋・アルパカ混リアルファーコート | 16,000円 | ブランドは同じだが素材と形が違う |
| 伊太利屋・軽量リバーシブルジャケット | 13,500円 | リバーシブルだが丈が短い |
短いリバーシブル商品が13,500円、同ブランドのファーコートが16,000円、ロング丈のファー商品が19,100円以上で売れていました。
そのため、自分の商品はブルーフォックス・リバーシブル・ロング丈という特徴が重なっており、少なくとも15,000円前後は狙えるのではないかと考えました。
下振れ価格でも利益が残るか確認する
仕入れ価格は記憶では約4,500〜5,000円でした。
仮に15,000円で売れた場合、手数料を1,500円、送料を850円、仕入れを約5,000円としても、利益は約7,650円残ります。
完全一致がないため、25,000円で売れると確信して仕入れたわけではありません。15,000円まで下振れしても利益が残ると考えたため、仕入れに進みました。
実際には25,000円で売れた
- 仕入れ価格:約4,500〜5,000円
- 販売価格:25,000円
- 販売手数料:2,500円
- 送料:850円
- 利益:約17,000円
- 販売期間:約1か月
結果として約1か月で25,000円で売れ、利益は約17,000円になりました。

予想より上振れしたため、当時はせどりで初めて大きな利益を経験し、かなり興奮しました。
ただし、この記事で伝えたいのは「伊太利屋のブルーフォックスを買えば25,000円で売れる」ということではありません。
完全一致が見つからないときには、ブランド・素材・丈・機能などに商品を分解し、それぞれの類似実売から保守的な着地価格を考えるということです。
事例3:タグ・年代・サイズから考えたHERMÈSのカーディガン
最後は、ヴィンテージのHERMÈSのカーディガンです。

この商品は、正直かなり高額な仕入れでした。仕入れ価格は26,148円です。
商品には小さなシミがあり、完全にきれいな状態ではありませんでした。それでも、年代・タグ・柄・ボタン・素材・サイズを確認し、それらの付加価値が状態によるマイナスを上回る可能性があると考えました。
最も近い同柄の実売はサイズ36だった
自分の商品と同じような馬車柄・セリエボタンのカーディガンを探すと、サイズ36の商品が29,000円で売れていました。
自分の商品と柄はかなり近いものの、サイズが違います。
もし29,000円をそのまま相場として使うと、26,148円で仕入れても手数料と送料を引いた時点で利益はほとんど残りません。
そこで、「サイズ36と42では需要が違うのではないか」と考え、大きいサイズまで検索を広げました。
サイズ42とXLの実売を確認する
「HERMÈS」「カーディガン」「XL」などで検索すると、4万〜5万円台で売れている商品が複数ありました。

スカーフ柄・サイズ42の商品には45,192円の実売があり、ほかにも素材やデザインによっては、さらに高い価格で売れているものが見つかりました。
ここから、完全一致のサイズ36が29,000円だから自分の商品も29,000円前後と考えるのではなく、サイズ42という大きさを加味すれば、4万〜5万円前後まで狙える可能性があると考えました。
もちろん、サイズだけで価格差のすべてを説明することはできません。柄・状態・素材・販売時期・写真など、複数の違いがあります。
それでも、サイズを変えて検索したことで、サイズ36の一件だけを基準にして仕入れを諦めずに済みました。
HERMÈSらしい複数の付加価値を見る
今回の商品には、サイズ以外にも複数の価値がありました。
ヴィンテージタグ
現在の商品とは異なる馬車の絵が入った古いタグが付いていました。
古いタグだから必ず高く売れるわけではありませんが、年代や希少性を判断する手がかりになります。同じようなタグの商品がどのくらいで売れているか確認することで、ヴィンテージとしての需要を考えました。
馬車柄
馬車はHERMÈSらしさが伝わりやすいモチーフです。無地のカーディガンとは違い、一目でブランドの世界観が伝わることが付加価値になると考えました。
セリエボタン
ボタンには「HERMÈS PARIS」の刻印がありました。
服全体だけでなく、ボタンなどの細部まで確認することで、ブランドらしさや商品の特徴を拾えます。
シルク×ウール
前面の柄部分にはシルク、ニット部分にはウールが使われていました。タグで素材を確認できるため、推測ではなく根拠を持って検索できます。

リサーチをする中では、カシミヤ混の商品がさらに高値になっている実売も見つかりました。このように、同じブランド・カテゴリーでも、素材が変われば価格帯も変わります。
シミはマイナスとして考え、正直に伝える
今回の商品には小さなシミがありました。
ヴィンテージの商品では、多少の経年変化があっても需要が残る場合があります。ただし、ヴィンテージだからシミがあってもすべて美品になるわけではありません。
シミの大きさ・場所・数によって評価は変わります。仕入れ時にはマイナス材料として考え、出品時には写真と説明文で状態を伝える必要があります。
今回は、小さなシミによるマイナスがあっても、タグ・馬車柄・セリエボタン・シルク×ウール・サイズ42という価値が上回る可能性があると判断しました。
実際の販売結果
- 仕入れ価格:26,148円
- 販売価格:50,000円
- 販売手数料:5,000円
- 送料:210円
- 利益:18,642円
- 利益率:37.3%
- 販売期間:9日
7月1日に出品し、7月10日に50,000円で売れました。
高額な仕入れで状態にも不安がありましたが、9日で売れたことから、サイズや柄などを含めた需要の読みは大きく外れていなかったと思います。
3つの事例に共通するリサーチの流れ
GUCCI、伊太利屋、HERMÈSは、商品も価格帯も異なります。ただ、リサーチの流れには共通点があります。
1.まずは完全一致を探す
最初はブランド・カテゴリー・モデル・色・サイズなどを入れ、自分の商品に近い実売を探します。
同じ商品が複数あれば、それらを比較するのが最もわかりやすい方法です。
2.一度にすべての条件を外さない
完全一致が見つからない場合は、色、サイズ、モデル名などを一つずつ外します。
一度にすべて外すと、何が価格に影響しているのかわからなくなるためです。
3.商品を価値の要素に分解する
それでも近い商品がない場合は、ブランド・素材・丈・柄・年代・タグ・サイズ・機能などに分解します。
伊太利屋ではフォックスファー・ロング丈・リバーシブル、HERMÈSではヴィンテージタグ・馬車柄・セリエボタン・シルク×ウール・サイズ42という要素を見ました。
4.似た商品との違いを足し引きする
類似商品が15,000円で売れていても、自分の商品が同じ価格になるとは限りません。
素材やサイズ、状態など、自分の商品が類似品より優れている部分と劣っている部分を考え、価格を上または下に調整します。
5.下振れ価格で利益計算する
上振れした価格だけで仕入れ判断をすると、売れなかったときに苦しくなります。
現実的な下振れ価格でも、手数料・送料・仕入れ価格を引いて利益が残るか確認します。
完全一致がない商品ほど、予想には幅が出ます。その分、安全な仕入れ価格を意識することが大切です。
相場がないのではなく、相場の探し方が違う
店舗で商品を見ていると、「メルカリに同じ商品がないから相場がない」と感じることがあります。
ただ、実際には相場が全くないのではなく、完全一致以外の情報から考える必要がある商品なのかもしれません。
同じブランドの同じカテゴリーを見る。素材を調べる。サイズを変えて検索する。タグや年代を見る。丈や柄、機能を比較する。
このように検索の角度を変えることで、最初は見えなかった価格帯が少しずつ見えてきます。
もちろん、どれだけ調べても確実な販売価格がわからない商品はあります。リサーチは未来の販売価格を当てるものではなく、集めた情報から仕入れのリスクを小さくする作業だと思います。
まとめ:商品名ではなく、検索条件を変えた理由を覚える
今回の3つの事例をまとめます。
- 実売が多い商品は、自分の商品に近いものを3件以上集め、価格帯と下振れを考える
- 完全一致がない場合は、ブランド・素材・丈・機能などへ分解する
- タグ・年代・柄・ボタン・サイズなども、付加価値を考える手がかりになる
- 類似商品との違いを足し引きし、自分の商品が価格帯のどこに入るか考える
- 最後は下振れ価格でも利益が残るか計算する
完全に同じ商品の実売が見つからないときは、その商品が持っている付加価値を一つずつ分解して考えます。ブランド、素材、サイズ、丈、柄、年代、タグ、状態、機能など、それぞれの価値を調べ、最後にそれらを掛け合わせながら相場を判断していきます。
正直、この判断は簡単ではありません。もしどの商品も検索するだけで答えが出るのであれば、リサーチ自体にそれほど難しさはないと思います。だからこそ、日頃から多くの商品をリサーチし、仕入れと実売の経験を積むことが大切です。
最初は判断を間違えることもありますが、その一つひとつの経験が、次に似た商品と出会ったときの判断材料になります。こうして身につけた相場観は、誰かの商品情報をそのまま真似しただけの知識ではありません。簡単には人に奪われず、商品や時代が変わっても応用できる、自分自身の「稼ぐ力の資産」になっていくと思います。
リサーチ方法は無限にあり、今回の3商品だけですべてを説明することはできません。
大切なのは、GUCCI、伊太利屋、HERMÈSという商品名を覚えることではなく、なぜその検索条件を使い、なぜ条件を外し、なぜその商品を比較対象にしたのかを理解することです。
最初は検索条件を変えても、何を見ればよいかわからないと思います。それでも店舗で商品を手に取り、リサーチし、実際に販売した結果を振り返ることで、少しずつ見る角度が増えていきます。
同じ商品が見つからないときは、そこでリサーチを終わらせず、まず一つだけ条件を外してみてください。
その小さな検索の広げ方が、今まで見えなかった利益商品を見つけるきっかけになるかもしれません。
※利益は、販売価格から仕入れ価格・販売手数料・送料を差し引いて計算しています。伊太利屋の仕入れ価格は帳簿をつける前のため、当時の記憶をもとにした概算です。


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