【古着せどり】タグの「毛」だけでは何もわからない|秋冬の高値素材を見分ける

冬物のコートとニット、品質表示タグの「毛」を示したアイキャッチ画像 副業せどり

ここまで、仕入れやアパレルの売れどき、秋冬のボーナスシーズンについて話してきました。読者の方には、「冬物なら何でも売れるのか」「アウターやニットにもいろいろあるけれど、どんな商品を売ればいいのか」と疑問に感じた方もいるかと思います。

四季とアパレルせどりでは、素材名だけで季節は決まらず、厚みや加工まで見ると書きました。今回はその続きとして、秋冬の獣毛を店頭でどう見て、仕入れ判断につなげているかを紹介します。

素材は難しいですよね。自分もその大枠を理解するのに時間がかかりましたし、今も現場レベルで根本の知識から全てわかっているわけではありません。

この記事では、秋冬素材の名前を暗記するのではなく、実際の仕入れでどこを見ているのかを実売例と一緒にお伝えします。

まず大枠。人工か、天然か

素材を大きく分けると、天然のものと人工のものがあります。

天然素材には、シルク、ウール、カシミヤ、アンゴラ、モヘア、アルパカ、リネン、コットンなどがあります。人工の化学繊維には、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、アクリルなどがあります。

天然物は自由に作れず数にも限りがあるため、自然と価値の高いものになります。ただし、人工素材の商品も全然仕入れますし、利益も取れます。

実際、L.B.M.1911のテーラードジャケットは、ポリエステル53%、毛30%、アクリル17%で、化学繊維が7割です。およそ3,000円で仕入れ、8,899円で売れました。メルカリの販売手数料10%と送料を引いた手取りは約7,795円です。

ほかにも素材はありますが、ここでは自分の経験上よく出てくるものを挙げました。コットンとシルクは通年、リネンは夏に使われるため、今回は秋冬の獣毛に絞ります。

タグの「毛」は、何も言っていない

服の素材タグで「毛100%」という表示を見たとき、毛はウールのことだと思いがちです。しかし、表記上の「毛」はウールだけを指しているわけではありません。

消費者庁の「繊維の名称を示す用語」を見ると、羊毛、モヘヤ、アルパカ、らくだ、カシミヤ、アンゴラは、いずれも「毛」と表示できます。

繊維の種類タグに使える指定用語
羊毛毛、ウール、WOOL
モヘヤ毛、モヘヤ
アルパカ毛、アルパカ
らくだ毛、らくだ、キャメル
カシミヤ毛、カシミヤ
アンゴラ毛、アンゴラ

つまり、「毛100%」という表示は制度上正しくても、それだけでは何の毛が入っているのかわかりません。

この違いは、僕が実際に売った2着のタグを見るとよくわかります。

INEDのロングコートの品質表示タグ。アンゴラ65%・カシミヤ30%・毛5%と書かれている
INEDのロングコート。同じ1枚のタグの中に、アンゴラ65%・カシミヤ30%・毛5%が並んでいる。
L.B.M.1911のテーラードジャケットの品質表示タグ。ポリエステル53%・毛30%・アクリル17%と書かれている
L.B.M.1911のジャケット。こちらは「毛30%」とだけ書かれていて、中身までは分からない。
商品タグの素材表記
INED ロングコートアンゴラ65%、カシミヤ30%、毛5%
L.B.M.1911 ジャケットポリエステル53%、毛30%、アクリル17%

INEDのタグでは、同じ1枚の中でアンゴラとカシミヤは名指しされているのに、残り5%は「毛」とだけ書かれています。L.B.M.1911のタグも「毛30%」までで、何の毛なのかはわかりません。

「毛」という表示は、高値商品にも化学繊維を多く含む商品にも同じように出てきます。「毛」だけでウールや高級素材とは決められません。

タグには2種類の言葉がある

タグを見ると、制度上決められた素材名だけでなく、ブランド側が加えた言葉も見つかります。

「毛」「ウール」「カシミヤ」「アンゴラ」「モヘヤ」「アルパカ」「らくだ・キャメル」は、公的な一覧にある指定用語です(この一覧では「モヘヤ」と書きます。この記事では読みやすさを優先して、以降はモヘアと表記します)。一方、「バージンウール」や「カシゴラ」は、公的な素材名の一覧には載っていない言葉です。だから、その言葉だけで中身を決めず、成分表示で何が何%入っているかを確かめます。

ただし、指定用語ではないから無視していいわけでもありません。僕が見てきた範囲では、イタリア製などの高いウール商品で「バージンウール」という言葉をよく見ます。

「毛100%」でも表示はできます。それでもブランド側が別の言葉を足すのは、そこを商品の特徴として伝えたいからだと読めます。いい生地を使うブランドが、それをわざわざ書いているという順番です。言葉一つから価格を決めつけません。

実際、僕が売った商品にも出てきます。Max Mara STUDIOのテディベアコートのタグには「48% LANA VERGINE(VIRGIN WOOL)」、Dolce&Gabbanaのテーラードジャケットには「バージンウール100%、イタリア製」とありました。どちらも成分表示としては「毛」で足りるところに、わざわざ足された言葉です。

Dolce&Gabbanaのほうは、僕自身も出品タイトルに「バージンウール」と入れて売っています。売り手として、そこを伝えたいと判断したということです。

ドルチェ&ガッバーナのジャケットのタグに100% Lana vergine(バージンウール)と書かれている
Dolce&Gabbanaのタグ。「100% Lana vergine」=バージンウール。出品タイトルにもそのまま書いた。

売り手の言葉は仕入れを決める答えではなく、売り手が何を推したいのかを知る目印です。タグを見てもわからないことがある。その事実を知るのが第一歩です。

秋冬の獣毛、どこを見るか

秋冬の店頭でよく見る獣毛について、僕がタグ、見た目や手触り、注意点のどこを見ているかを紹介します。

ウールは秋冬の基準

ウールは羊毛です。縮れた繊維が空気を含んで暖かく、秋冬素材を見るときの物差しになります。タグにメリノウールと明記されていれば、判断材料として加点します。

先ほどのDolce&Gabbanaのテーラードジャケットは、バージンウール100%でイタリア製。およそ10,000円で仕入れ、16,500円で売れました。手数料と送料を引いた手取りは約14,635円、利益は約4,635円です。

カシミヤは別格

カシミヤはカシミヤヤギの下毛から作られ、1頭から年150gほどしか採れないと言われています。極細で軽く暖かく、僕が見ている中では価値が最も高い素材です。数%でも入っていれば出品時の訴求ポイントになり、100%は別格です。

ツルッとした柔らかい質感があり、手触りでわかれば上級者です。ただし、虫食いは大きな減点として見ます。

tricot COMME des GARÇONSのカシミヤ100%の変形ポンチョは、およそ10,000円で仕入れ、19,799円で売れました。手数料と送料を引いた手取りは約17,605円、利益は約7,605円です。

モヘアは光沢と長い毛足を見る

モヘアは名前が紛らわしいのですが、アンゴラヤギの毛です。強い光沢と長い毛足があり、遠目でも見当をつけやすい素材です。古着でも人気があります。

Lamborghiniのモヘア80%のニットセットアップは、およそ2,200円で仕入れ、4,899円で売れました。手数料と送料を引いた手取りは約3,560円、利益は約1,360円です。

アンゴラは柔らかさと割合を見る

アンゴラはアンゴラウサギの毛です。極細でふわふわしており、保温力はトップクラス。抜けやすいため、混ぜて使われているものが基本です。

僕が見ている範囲では、少し価値が落ちている印象です。それでも柔らかな肌触りを好む人がいます。50%以上や100%なら強い判断材料になります。

Paul Smithのチェスターコートはアンゴラ67%、ウール33%でした。およそ4,000円で仕入れ、12,999円で売れています。手数料と送料を引いた手取りは約10,850円、利益は約6,850円です。

アルパカとキャメルも加点する

アルパカは軽く、毛玉に強い素材です。Max Maraのテディベアコートにもアルパカが使われています。キャメルはらくだの下毛です。

先ほどのMax Mara STUDIOのコートは、アルパカ52%、バージンウール48%でした。記憶では1万円を下回る金額で購入し、22,000円で売れています。帳簿をつける前の商品で、正確な値札と支払額は残っていません。

素材は「探す」のではなく「答え合わせ」する

ここまで素材の話をしてきたので、「じゃあカシミヤを探しに行こう」と思った方がいるかもしれません。でも、僕の動き方は逆です。

素材タグは服の内側、脇の縫い目あたりに付いています。「カシミヤを探すぞ」と決めて棚に向かうと、1着ずつ服をめくって内側のタグを探すことになります。棚に何十着もかかっている売り場で、これをやると手が止まります。しかも、めくった大半はカシミヤではありません。

僕が実際にやっているのは、こういう順番です。

  1. 首元のブランドタグを見る
  2. ロング丈、ベルト付きなどのディテールと、黒・紺・茶などの使いやすい色を見る
  3. 触った質感を確かめる
  4. 素材表記タグで答え合わせをする

この順番が速いのは、1と2が服をめくらずに見えるからです。ブランドタグは首元に出ていますし、丈やベルト、色は離れていてもわかります。ここで候補を絞ってから手に取るので、内側のタグまで確認する枚数がぐっと減ります。

ファー付きも服のシルエットを見る要素の一つですが、それだけで仕入れを勧める意味ではありません。

「タグを見る」は2回あります。首元のブランドタグは商品を手に取る入口、服の内側の素材表記タグは予想の答え合わせです。場所も目的も違います。同じ「タグ」でも、片方は候補を選ぶため、もう片方は選んだあとに確かめるためのものです。

始めた頃は、ロング丈やベルト付きなども含めて良さそうなものを手に取り、タグを見るとアンゴラやカシミヤが入っている、という順番でした。総合的にリサーチするときに素材タグへ進みます。

INEDの黒いロングコートは、その順番がそのまま形になった1着です。黒、ロング丈、ベルト付きという条件がそろっていて、素材タグを確認するとアンゴラ65%、カシミヤ30%、毛5%でした。

最初は触っても素材がわかりません。タグで答え合わせを繰り返すうちに、手触りと表示が結びつき、触った段階で見当がつくようになりました。例外はモヘアで、強い光沢と長い毛足があるので、手に取る前に遠目で気づくこともあります。

タグは、素材名を読むだけのものではありません。触感を育てるための練習台でもあります。

どれくらい続ければわかるようになるのか。僕の場合、2シーズン目に入るときには、もう感覚を掴んでいました。

近道はありません。きっかけは、とにかく数をこなし、触り続けたことです。詳しい流れは、独学で相場観を身につけるまででも書いています。

その状態で、売り物になるか

素材名や割合が良くても、商品状態を見ずには仕入れられません。ここでは、古着仕入れの検品で使った「直せるから買う、直せないから買わない」という同じ物差しを秋冬素材に当てはめます。

状態判断理由
虫食い買わない直せない
毛玉むしろ買う直せるため利鞘になる
明らかな縮み買わない、または明記して売る直せない

虫食いは買わない

カシミヤは動物性タンパク質の素材です。僕の実感では、特に繊維が細かいカシミヤは虫に食われやすく、穴があれば大きく減点します。

細いから軽くて暖かい。だから高い。でも同じ理由で虫に食われる。

素材名だけで喜ばず、表面をよく見ます。

毛玉はむしろ仕入れる

毛玉は状態によりますが、直せるため利鞘を作りやすく、僕はよく買います。ほかの人が敬遠する商品を安く仕入れられることがあるからです。毛玉だけで仕入れ対象から外しません。

明らかな縮みは買わない

縮絨(しゅくじゅう)は、わざと縮ませる仕上げなので別物です。避けるのは、持ったときに全体が明らかにアンバランスに縮んでいる商品です。

サイズ表記より明らかに小さいものは買わないようにしています。買う場合は、縮みがあることと採寸を正直に記載して出品します。表記サイズと実寸の見方は、アパレルのサイズ換算表も参考にしてください。

素材だけ見ると外す――価値の掛け算

ただし、素材だけを見ると外します。勝ちを決めるのは価値の組み合わせです。

アルパカとMax Maraのように、ブランドの定番素材との組み合わせでは掛け算が効きます。しかし一つの条件に寄りかかると判断を誤ります。サイズによる価値の違いリセールバリューの見極め方も含め、複数の条件を見ます。

それが数字に出たのが、INEDとRED VALENTINOの2着です。

商品見たもの結果
INEDブランド+タグの中身までおよそ4,000円 → 手取り約14,450円、利益約10,450円
RED VALENTINOブランドだけおよそ14,000円 → 手取り約12,650円、利益約−1,350円

INEDのロングコートは、ブランドだけでなく、黒、ロング丈、ベルト付きという形を見て、最後にタグでアンゴラ65%、カシミヤ30%まで確認しました。およそ4,000円で仕入れ、17,000円で売れています。手数料と送料を引いた手取りは約14,450円、利益は約10,450円でした。

INEDのアンゴラ・カシミヤ混ロングコートが17,000円で売れたときの出品画面
INEDのロングコート。仕入れ約4,000円 → 17,000円で売却。

一方、RED VALENTINOのコートは、「ブランドがいいから」とおよそ14,000円で仕入れてミスしました。15,000円で売れましたが、手数料と送料を引いた手取りは約12,650円。利益は約1,350円のマイナスです。本物の毛皮ではなく、モダクリルとポリエステルを中心とする化学繊維です。

レッドヴァレンティノのファーコートが15,000円で売れたときの出品画面
RED VALENTINOのファーコート。仕入れ約14,000円 → 15,000円で売却。

素材だけ見ても、ブランドだけ見ても外します。素材は掛け算を作る一つの項として見ます。

小ネタ:タグを見るなら生産国も見る

少し脱線しますが、素材タグでは生産国も見ます。中国製が多く、ほぼデフォルトという感覚です。僕が見てきた範囲では、日本製、アメリカ製、イタリア製には価値の高い商品が多くあります。

INEDは日本製、Dolce&GabbanaとL.B.M.1911はイタリア製でした。ただし、L.B.M.1911はイタリア製でも、素材は化学繊維が7割です。生産国だけで素材の良し悪しが決まるわけではありません。

生産国は、メルカリでリサーチする対象か検討する指標レベルです。

まとめ

秋冬素材は、名前を覚えて棚から探し出せばいいものではありません。

  • タグの「毛」だけでは、何の毛なのかわからない
  • 首元のブランドタグと服の形で拾い、素材表記タグで答え合わせをする
  • 虫食い、毛玉、縮みを見て、その状態で売り物になるかを判断する
  • 素材だけ、ブランドだけに寄らず、価値の組み合わせを見る

最初は触ってもわからなくて当然です。良さそうな服を手に取り、タグで答え合わせを繰り返す。その数が増えるほど、手触りと表示がつながります。違いを見分け、その状態で売れるかを判断できて、初めて仕入れに使える知識になります。

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